鉄欠乏性貧血

概要・推奨

概要

  • 鉄欠乏性貧血は、世界で最も頻度の高い疾患です。
  • 日本では、30~40歳台の成人女性の10~20%が貧血であり、その主な原因は鉄欠乏です。また、男女ともに70歳以降で貧血の頻度は増加します。
  • 2009年度の調査では、20~40代女性の約40%が貯蔵鉄の欠乏した鉄欠乏状態(血清フェリチン値15ng/mL未満)にあったことが示されています。
  • 原因の一つとして、食生活の変化による鉄摂取量の低下が考えられます。
  • 症状には、動悸、息切れ、顔面蒼白といった貧血症状のほか、疲れやすさや作業量の減少などがあります。
  • 組織の鉄が欠乏することによる特有の症状として、爪がスプーン状に変形するさじ状爪、脱毛、舌の痛みや萎縮、食べ物が飲み込みにくくなる嚥下困難などがみられます。
  • 氷などを無性に食べたくなる異食症(特に氷食症)がみられることがあります。
  • むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の主要な誘因の一つであることが知られています。
  • 小児では発達や認知機能の障害、妊婦では早産や低出生体重児のリスク増加と関連することがあります。

推奨

  • 鉄欠乏性貧血の診断は、貧血(成人女性でヘモグロビン値12g/dL未満など)があり、総鉄結合能(TIBC)が360µg/dL以上、血清フェリチン値が12ng/mL未満であることを基準とします。
  • 貯蔵鉄の指標として血清フェリチン値の測定が最も重要です。
  • 鉄欠乏性貧血の背景には消化管出血や過多月経などの原因があるため、その検索と治療が根本的な治療となります。