僧帽弁閉鎖不全症(含む僧帽弁逸脱症)

概要・推奨

概要

  • 僧帽弁閉鎖不全症(僧帽弁逆流症、MR)は、大動脈弁狭窄症と並んで有病率の高い弁膜症です。
  • MRは、弁尖や腱索などの僧帽弁装置自体の器質的異常によって生じる一次性MRと、左室や左房の拡大・機能不全に伴って生じる二次性MRに大別されます。
  • 一次性MRの主な原因は僧帽弁逸脱症であり、病理学的にはfibroelastic deficiency(FED)やBarlow's diseaseなどに分類されます。
  • 二次性MRは、心筋梗塞や拡張型心筋症などによる左室機能不全に伴うものと、心房細動に伴う左房拡大を背景とする心房性機能性MRがあります。
  • 急性MRは、急激な血行動態の破綻をきたし、ショック状態に陥ることがあります。
  • 慢性MRは、代償期には長期間無症状で経過しますが、進行すると左室機能が低下し、慢性心不全の状態となります。
  • 重症の一次性MRは、無症状であっても予後不良です。左室駆出率(LVEF)の低下(60%未満)、左室収縮末期径(LVESD)の増大(40 mm以上)、心房細動の合併は、術後の予後不良因子とされています。

推奨

  • 一次性僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対する外科治療では、耐久性のある逆流制御が可能であれば、人工弁置換術よりも僧帽弁形成術が第一選択として推奨されます。
  • 症状のある重症一次性MRで、左室駆出率(LVEF)が30%を超える症例には僧帽弁手術が推奨されます。LVEFが30%以下でも、手術により症状改善が期待される場合には手術が考慮されます。
  • 無症状の重症一次性MRでは、LVEFが60%以下、または左室収縮末期径(LVESD)が40mm以上に至った場合に手術が推奨されます。