横紋筋融解症

概要・推奨

概要

  • 横紋筋融解症は、骨格筋細胞が急激に壊死・融解し、筋細胞内の成分が血中に漏出する病態です
  • 血中に漏出する主な成分には、クレアチンキナーゼ(CK)、ミオグロビン、カリウム、リンなどがあります。統一された診断基準は存在しませんが、一般的には血清CKが正常上限の5倍以上、あるいは1000 IU/L以上で診断されることが多く、CK値5000 IU/L以上が急性腎障害(AKI)発症の重要な閾値となります。
  • 最も重篤な合併症として急性腎障害(AKI)に注意して管理します。機序としては、血中に流出したミオグロビンが腎尿細管に障害を与えて発症すると考えられています。
  • その他の合併症として、高カリウム血症、高リン血症、低カルシウム血症などの電解質異常、コンパートメント症候群、播種性血管内凝固(DIC)などを引き起こすことがあります。高カリウム血症は発症後12〜36時間でピークとなり、致死的不整脈を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
  • 原因は、外傷、圧挫、過度の運動、薬剤、感染症、熱中症、代謝性疾患など多岐にわたります。スタチンによる横紋筋融解症は有名ですが、実際の発症頻度は0.1%未満です。
  • 典型的な症状は、筋痛、筋力低下、褐色尿(ミオグロビン尿)の3つですが、全ての症状が揃うとは限りません。実際には約半数の患者が筋肉痛、脱力、把握痛を訴え、残りの半数は無症状で血液検査をきっかけに発見されます。そのため、リスクのある患者では積極的にCKを測定することが重要です。
  • 治療の中心は迅速かつ十分な輸液による急性腎障害の予防です。CK値が5000 IU/L以上の場合は急性腎障害のリスクが上昇するため、この値を目安に入院適応と積極的な輸液療法の開始を判断します。

推奨

  • 横紋筋融解症を疑う場合、診断のために血清クレアチンキナーゼ(CK)値を測定することが推奨されます。統一された診断基準は存在しませんが、一般的には血清CKが正常上限の5倍以上が診断の必要条件となります。
  • 急性腎障害の予防と治療の基本として、早期からの十分な量の細胞外液輸液が推奨されます。生理食塩液を400~1000 mL/h(10〜20 mL/kg)で速やかに開始し、目標尿量200mL/時(または3 mL/kg/時)以上を維持するように輸液速度を調整します。重度の横紋筋融解症では10 L/12〜24時間の大量輸液が必要となることもあります。
  • CK値が5000 IU/L以上の場合は急性腎障害のリスクが上昇するため、この値を目安に予防的輸液の開始または中止を行うのが適切です。ただし、最初のCK値が5000 IU/L未満でも上昇傾向があれば予防を検討する必要があります