バレット食道(バレット食道癌含む)
概要・推奨
概要
- バレット食道とは、バレット粘膜を有する食道のことです。
- バレット粘膜とは、内視鏡で確認できる胃から食道に伸びる円柱上皮のことであり、腸上皮化生の有無は問いません。組織学的な特殊円柱上皮化生の確認は必要としません。
- バレット食道の診断には食道胃接合部の同定が必要であり、原則として内視鏡による食道下部柵状血管の下端を食道胃接合部とします。
- 一部でも3cm以上のバレット粘膜を認める場合をlong-segment Barrett's esophagus(LSBE)とし、3cm未満のものをshort-segment Barrett's esophagus(SSBE)とします。
- バレット粘膜の組織学的所見としては、円柱上皮下の粘膜層内の食道腺導管あるいは粘膜下層の固有食道腺、円柱上皮内の扁平上皮島、円柱上皮下の粘膜筋板の二重構造のいずれかが認められます。
- バレット癌とは、バレット粘膜に生じた腺癌と定義されます。
- 欧米の病理診断で用いられるlow-grade dysplasia(LGD)は、日本の腺腫または低異型度高分化腺癌(非浸潤性)に相当し、high-grade dysplasia(HGD)は高異型度腺癌(非浸潤性)に相当します。
- バレット癌の治療は、その占居部位における食道扁平上皮癌に準じて行われます。
- 内視鏡的切除術の適応は、術前にcT1a癌と診断されたものであり、切除検体の病理診断で壁深達度がpT1a-SMM(円柱上皮層または浅層粘膜筋板にとどまる)およびpT1a-LPM(浅層粘膜筋板を越えるものの深層粘膜筋板に達しない)では内視鏡的切除で治癒が期待できます。
- 壁深達度がpT1a-DMM(深層粘膜筋板に浸潤する)であっても、脈管侵襲や低分化成分がなければ再発のリスクは低いとされています。
推奨
- 最大長3cm以上のバレット食道に対して、上部消化管内視鏡検査によるサーベイランスを行うことが弱く推奨されています。
- 最大長3cm未満のバレット食道に対して、上部消化管内視鏡検査によるサーベイランスを行うかどうかの推奨は、現時点では決定することができません。
- バレット食道に対して、発癌予防を目的とした薬物治療は行わないことが弱く推奨されています。