ステロイドミオパチー

概要・推奨

概要

  • ステロイドミオパチーは、グルココルチコイド(ステロイド)の長期・大量投与によって引き起こされる医原性の筋疾患であり、筋力低下と筋萎縮を主症状とします。主に大腿部や上腕部などの体幹に近い筋肉(近位筋)が障害され、階段昇降や椅子からの立ち上がりが困難になるなどの症状が現れます。筋痛を伴わないことが多く、左右対称性の筋力低下になることが多いです。
  • 血液検査におけるクレアチンキナーゼ(CK)値は正常範囲内か軽度の上昇にとどまることが多く、炎症性筋疾患とは異なり筋逸脱酵素の著明な上昇を来たしません。
  • 病態の本質はステロイドによる筋タンパクの分解亢進と合成抑制であり、特に速筋線維(Type II線維、中でもType IIb線維)が選択的に萎縮することが組織学的な特徴です。。
  • 発症リスクはステロイドの投与量と投与期間に相関しており、プレドニゾロン換算で10mg/日以上を3〜4週間以上使用した場合にリスクが高まります。長期・高用量のステロイド治療を受けている患者では50〜60%に発症するという報告もあり、薬剤性ミオパチーの中で頻度が高い疾患です。

推奨

  • ステロイド治療中の患者に、原因不明の近位筋優位の筋力低下が認められた場合、ステロイドミオパチーを鑑別診断として考慮することが推奨されます。本疾患は見逃されやすく、原疾患の悪化と誤認されることも少なくないため、早期からの意識的なスクリーニングが重要です。
  • 診断においては、ステロイドの使用歴(種類、用量、期間)を詳細に聴取し、筋力評価を含む神経学的診察を行うことが重要です。血清CK値は通常正常範囲内であり、CK高値であれば炎症性筋疾患など他の原因を積極的に検索します。
  • プレドニゾロン換算で10mg/日以上を4週間以上投与する予定の患者には、投与開始前に近位筋の徒手筋力テストを含む神経学的診察を行い、ベースラインを記録したうえで定期的にフォローすることが推奨されます。