鼻汁
概要・推奨
概要
- 鼻汁は、鼻および副鼻腔の炎症性疾患における主要な症状の一つです。
- 鼻汁の性状は、原因疾患を推測する上で重要です。水様性鼻汁は、アレルギー性鼻炎、血管運動性(本態性)鼻炎、または急性鼻炎の初期にみられます。アレルギー性鼻炎は、発作性反復性のくしゃみや鼻閉を伴うことが特徴です。急性鼻炎(いわゆる鼻かぜ)では、発症から数日経過すると粘性・膿性の鼻汁に変化することが多いです。
- 膿性または粘膿性の鼻汁は、急性細菌性鼻副鼻腔炎や慢性鼻副鼻腔炎でみられます。特に急性細菌性鼻副鼻腔炎では、膿性鼻漏が特徴的な所見となります。歯性上顎洞炎では、一側性の悪臭を伴うことがあります。
- ニカワ状と表現される粘稠な鼻汁は、好酸球性副鼻腔炎やアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎でみられる特徴的な所見です。
- 鼻汁に含まれる細胞成分も鑑別に有用です。鼻汁中の好酸球が増加していればアレルギー性鼻炎や好酸球増多性鼻炎を、好中球が増加していれば細菌感染を示唆します。
推奨
- 鼻汁を主訴とする患者の診断においては、症状の持続期間、誘因(季節、環境など)、随伴症状(発熱、顔面痛、くしゃみ、掻痒感など)に関する詳細な問診が重要です。
- 鼻腔内視鏡検査などを用いて、鼻汁の性状や鼻粘膜の色調、腫脹の程度、鼻茸の有無などを直接観察することが推奨されます。
- アレルギー性鼻炎が疑われる場合、血清特異的IgE検査や皮膚テストで原因アレルゲンを特定することが治療方針の決定に有用です。治療は原因抗原の除去・回避を基本とし、薬物療法として第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などが用いられます。さらに、長期寛解を目的としたアレルゲン免疫療法(舌下・皮下)や、重症のスギ花粉症に対しては抗IgE抗体(オマリズマブ)の投与も検討されます。