重症筋無力症

概要・推奨

概要

  • 重症筋無力症(MG)は、骨格筋の筋力が運動の反復や持続に伴い低下する(易疲労性)ことを特徴とする病気です。休息により筋力は回復し、また夕方に症状が悪化する日内変動もみられます。
  • 初発症状として最も多いのは眼瞼下垂や複視などの眼症状です。その他に四肢筋力低下、球症状(構音障害や嚥下障害)、顔面筋力低下、呼吸困難なども呈します。
  • 病態としては、神経筋接合部のシナプス後膜上にあるアセチルコリン受容体(AChR)や筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)などに対する自己抗体により、神経筋の刺激伝達が障害されて生じる自己免疫疾患です。
  • 2017年における日本国内のMG患者数は29,210人と推定されています。
  • 免疫療法の普及により長期予後は改善しましたが、長期的な寛解はまれであり、寛解率は20%未満です。多くの患者さんでは症状の改善レベルや生活の質(QOL)が依然として不十分な場合があります。

推奨

  • 多くの場合、治療は生涯にわたるため、生活の質(QOL)やメンタルヘルスを良好に保つ治療戦略を立てることが推奨されます。
  • 治療における最初の目標は、経口プレドニゾロン5mg/日以下で日常生活に支障のない軽微な症状(minimal manifestations: MM)レベル(MM-5mg)、すなわちMM-5mgとすることが推奨されます。これを早期に達成するよう治療戦略を考えます。
  • 早期速効性治療戦略(early fast-acting treatment strategy: EFT)は、MM-5mgの早期達成に有効であるため推奨されます。EFTでは免疫グロブリン静注療法、血漿浄化療法、ステロイドパルス療法といった非経口速効性治療を単独あるいは組み合わせて行います。ステロイドとカルシニューリン阻害薬を併用することで、筋力改善とステロイドの減量効果が期待できます。