大動脈弁狭窄症

概要・推奨

概要

  • 大動脈弁狭窄症は、大動脈弁の狭窄による慢性的な左室への圧負荷を病態とします。
  • 先進国では加齢に伴う大動脈弁尖の変性が主な病因であり、手術を要する重症大動脈弁狭窄症の80%以上を占めます。
  • 頻度は加齢とともに上昇し、80歳以上では約7%に重症大動脈弁狭窄症がみられます。
  • 先天性では二尖弁が最も多く、全人口の0.5~2%に認められます。
  • 代償機転として左室肥大が生じますが、進行すると左室機能障害をきたし、最終的に血行動態が破綻します。
  • 心不全、失神、胸痛などの自覚症状が出現すると平均余命は2~3年と予後不良です。
  • 無症候性であっても、重症大動脈弁狭窄症は予後不良であり、突然死のリスクは年間1%程度とされています。
  • 無症候性重症大動脈弁狭窄症の中でも、弁狭窄の程度が特に強い超重症例、進行が速い例、左室駆出率(LVEF)が低下傾向にある例では、心血管イベントの発生率が高いとされています。

推奨

  • 大動脈弁狭窄症の診断と重症度評価には、主に心エコー図検査が行われます。
  • 症状のある重症大動脈弁狭窄症の患者さんに対しては、臨床的な手術禁忌がある場合や予測される予後が1年未満である場合を除き、手術が推奨されます。
  • 外科的大動脈弁置換術(SAVR)か経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)かの治療選択は、年齢、耐久性、手術リスク、解剖学的特徴、併存疾患、フレイル、患者さんの希望などを考慮し、弁膜症チームでの議論を経て決定されるべきです。おおまかな目安として、80歳以上の患者さんにはTAVIが、75歳未満の患者さんにはSAVRが優先的に考慮されますが、TAVI手術成績の安定により、各国ガイドラインではより低年齢でもTAVIが推奨される事が増えています