成人スティル病

概要・推奨

概要

  • 成人スティル病(Adult Still's Disease: ASD)の明確な病因は不明ですが、感染症、遺伝的背景、サイトカイン(IL-6、IL-18など)の異常、免疫細胞の機能異常などが複雑に関与する自己炎症性疾患と考えられています。
  • 主な臨床症状は、39℃以上のスパイク状の発熱(弛張熱)、発熱時に体幹や四肢に出現・消退するサーモンピンク色の皮疹(リウマトイド疹)、そして関節痛・関節炎です。
  • その他、咽頭痛、リンパ節腫脹、肝臓や脾臓の腫大などがみられます。
  • 血液検査では、白血球(特に好中球)の増加、CRPや赤血球沈降速度といった強い炎症反応、肝機能異常、そして疾患活動性と相関する著明な血清フェリチン高値が特徴です。
  • 通常、リウマトイド因子(RF)や抗核抗体(ANA)などの自己抗体は陰性です。
  • 臨床経過は、一回の全身症状で寛解する「単周期性全身型」、再燃を繰り返す「多周期性全身型」、関節炎が持続・進行する「慢性関節炎型」の3つの病型に分類されます。
  • 特異的な診断マーカーはなく、特徴的な臨床症状と検査所見から総合的に診断されます。類似の症状を呈する感染症、悪性腫瘍、他の膠原病などを慎重に除外することが極めて重要です。
  • 日本の推定患者数は約4,760人、有病率は人口10万人あたり約3.7人とされる稀少疾患です。若年成人に多いですが、高齢での発症もみられます。
  • 重篤な合併症として、サイトカインが過剰に放出され、汎血球減少、急激な肝障害、血液凝固異常などをきたすマクロファージ活性化症候群(MAS)があり、生命を脅かすことがあるため特に注意が必要です。
  • 治療の第一選択薬としては、副腎皮質ステロイドが経験的に用いられます。効果が不十分な場合や重症例では、免疫抑制薬や生物学的製剤の使用が検討されます。

推奨

  • 1日1〜2回の39℃以上のスパイク状の発熱は、本疾患に特徴的な熱型として診断の際に考慮することが提案されます。
  • 発熱と一致して出現するサーモンピンク色の皮疹や持続性の紅斑は特徴的な皮膚所見であり、持続性の紅斑に対しては皮膚生検を行うことが提案されます。
  • 多関節炎をきたし、特に膝、手、足関節に好発し、進行すると手根骨などの骨癒合をきたすことが臨床的特徴として提案されます。