薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)

概要・推奨

概要

  • 薬剤の使用過多による頭痛(Medication-Overuse Headache: MOH)は、以前から片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛を持つ患者が、頭痛の急性期治療薬を過剰に使用することによって、頭痛が悪化または慢性化した状態です。
  • 頭痛がある日のほうが多い状態(月に15日以上)が3カ月以上継続する慢性連日性頭痛の患者さんの約半数がMOHであると報告されています。頭痛専門外来を受診する患者さんの30〜50%を占める重要な疾患です。
  • 海外における一般人口での年間有病率は約1〜2%と報告されており、特に中年女性に多くみられます。
  • 診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に準拠して行われます。原因となる薬剤の種類により基準が異なり、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤、オピオイド、複合鎮痛薬では月に10日以上、アセトアミノフェンやNSAIDsなどの非オピオイド系鎮痛薬では月に15日以上の使用が乱用の目安となります。
  • 治療の原則は、原因となっている薬剤を中止することです。患者さんへの十分な説明と指導、薬剤中止後に起こる頭痛への対処、予防療法の導入を組み合わせて治療を行います。離脱療法により約70%の患者さんが改善しますが、約3割が再発するため、継続的なフォローアップが重要です。

推奨

  • 薬剤の使用過多による頭痛の診断は、国際頭痛分類第3版(ICHD-3)に準拠して行うことが推奨されます。
  • 急性期治療薬の過剰使用と頭痛の悪化との関係について患者に十分に説明し、指導することが推奨されます。
  • 治療の原則として、原因薬剤の中止、薬剤中止後に起こる頭痛への対処、予防療法の導入が推奨されます。