胸部大動脈瘤

概要・推奨

概要

  • 胸部大動脈瘤は、胸部の大動脈壁の一部が全周性または局所性に拡大、突出した状態です。
  • 成人の胸部大動脈の正常径は一般に30mmとされ、直径が正常径の1.5倍(45mm)を超えて拡大した場合に瘤と称されます。
  • 存在部位により、上行大動脈瘤、弓部大動脈瘤、下行大動脈瘤に分類されます。
  • 原因は、上行大動脈では囊状中膜壊死、下行大動脈では動脈硬化性であることが多いとされています。Marfan症候群のような遺伝性結合織疾患が原因となることもあります。
  • ほとんどの場合が無症状であり、多くは健診や他の疾患の精査中に画像検査で偶発的に発見されます。
  • 症状としては、咳、息切れ、嚥下困難、嗄声などを呈することがあります。破裂や切迫破裂時には、胸部や背部に急激な疼痛が生じます。
  • 侵襲的治療の適応は瘤径が重要な指標となり、一般的に最大短径55mm以上が考慮されます。Marfan症候群などの遺伝性結合織疾患では45mm以上で治療が検討されます。
  • 嚢状の形態を示す大動脈瘤は、紡錘状のものに比べて破裂のリスクが高いため、瘤径が小さくても治療が検討されることがあります。

推奨

  • 血圧管理は、目標値を130/80 mmHg未満とすることが推奨されます。
  • 瘤の拡大や破裂の危険因子であるため、禁煙が推奨されます。
  • 定期的な画像検査によるサーベイランスが推奨されます。瘤径の拡大がない場合は1年に1回、拡大がある場合は3~6ヵ月に1回の間隔が考慮されます。