避妊法、緊急避妊法
概要・推奨
概要
- 低用量経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)は、理想的な使用におけるパール指数が0.3とされ、効果の高い可逆的な避妊法です。
- OC・LEPは避妊効果に加え、月経困難症や過多月経の改善効果があります。ドロスピレノンを含有するLEPは月経前不快気分障害(PMDD)にも有効で、月経前症候群(PMS)への効果も期待されます。
- OC・LEPの連続投与は、周期投与と比較して月経痛を軽減し、休薬期間に伴う諸症状を回避できる可能性があります。
- OC・LEPの長期間の服用がその後の妊孕性に影響することはなく、服用中止後3か月以内に約90%の女性で排卵が再開します。
- OC・LEPは性感染症を予防する効果はありません。
- OC・LEPの副作用として、嘔気などの消化器症状がみられることがありますが、体重増加には関与しないとされています。
- OC・LEPの服用により、静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクは非使用者に比べてわずかに増加しますが、このリスクは妊娠中や産褥期のリスクよりも低いです。
- OC・LEPの副効用として、卵巣がん、子宮体がん、大腸がんのリスクを低下させることが知られています。一方で、子宮頸がんや乳がんのリスクがわずかに増加する可能性があります。
- 子宮内避妊用具(IUD)やレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)も効果的な避妊法です。5年間の使用における妊娠率は、銅付加IUDで1.9%、LNG-IUSで0.5%と報告されています。
- IUD・LNG-IUSの有害事象として、不正出血、感染、子宮穿孔、自然脱落などが起こり得ます。
- 緊急避妊法は、避妊に失敗した性交後などに緊急的に妊娠を阻止する方法です。レボノルゲストレル(LNG)錠の内服や銅付加IUD(Cu-IUD)の装着といった方法があります。
- 緊急避妊法は100%の避妊効果を保証するものではありません。
- 緊急避妊法(Emergency Contraception: EC)は、避妊せずに行われた性交または避妊手段が不十分であった性交の後に、妊娠を回避するために緊急避難的に用いる方法です。
- 性交前に計画的に用いる経口避妊薬(OC)や他の避妊法とは根本的に異なり、「最後の避妊手段」とも呼ばれます。
- 緊急避妊のために使用される薬剤は緊急避妊薬(Emergency Contraceptive Pills: ECP)と称されます。
- 日本で緊急避妊薬として承認されているのはレボノルゲストレル(LNG)単剤です。その他に、銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)も緊急避妊法として用いられます。
- LNG-ECPの作用機序は、主として排卵の抑制または遅延によるものと考えられています。排卵前に投与することで、精子が受精能力を失うまでの間、排卵を抑制します。
- Cu-IUDは、銅イオンによる精子の運動性に対する作用によって受精を阻害します。受精が起こった場合でも、着床阻害作用を示す可能性があります。
- 生殖医学では妊娠は着床の時点で成立すると規定されており、ECは人工妊娠中絶薬とは見なされていません。
- ECの適応となる状況には、避妊しない性交、OCの飲み忘れ、レイプや性的暴行、コンドームの破損・脱落・不適切な使用などが含まれます。
- かつて緊急避妊に用いられていたYuzpe法は、中用量ピルを服用する方法ですが、WHOの比較試験において、有効性および安全性ともにLNG-ECPが優位であることが確認されています。
推奨
- 避妊法を選択する際には、それぞれの方法の避妊効果、安全性、副効用、リスクなどを総合的に評価し、本人にとって最適な方法を選択できるよう支援することが推奨されます。
- 低用量経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(LEP)を処方する際は、問診を通じて禁忌や慎重投与の対象でないことを確認することが強く推奨されます。
- OC・LEPを服用している場合は、他の医療機関を受診する際や手術を受ける際には、服用中であることを必ず申し出るよう指導することが推奨されます。