手術部位感染症(SSI)
概要・推奨
概要
- 手術部位感染症(SSI)とは、術後30日以内(人工物が挿入された手術では1年以内)に発生する、手術部位の感染症です。
- SSIはその深達度によって、①表層SSI(皮下組織まで)、②深部SSI(筋層、筋膜まで)、③臓器/体腔SSI(臓器、体腔まで)の3つに分類されます。
- SSIのリスク因子には、患者関連の要素(年齢、栄養状態、糖尿病、喫煙、肥満、遠隔部位の感染、微生物の保菌など)と、手術手技関連の要素(手術時手洗い、皮膚消毒、手術時間、抗菌薬投与、手術室の換気など)があります。
- 創分類によってSSIのリスクを層別化することができ、清潔創では1-3%、準清潔創では8-10%、汚染創では15-20%、不潔または感染創では25-40%の発生率が予測されます。
- SSIの好発時期は術後4日を過ぎた頃で、疼痛、腫脹、発赤、膿性排液がSSIの診断に最も信頼できる所見です。
- 術後48時間以内にSSIを発症することは稀であり、この時期に発熱などの全身症状を認めた場合、A群溶連菌かClostridium属による壊死性軟部組織感染症、もしくはブドウ球菌性トキシックショック症候群(TSS)を疑います。
- SSIの治療で最も大切なのは、切開創を開放してドレナージし、傷が治るまでドレッシングの交換を続けることです。
- 発熱、頻脈などの全身症状がみられる場合は抗菌薬の投与を行いますが、術後早期の切開創周囲に腫脹や排膿のない皮膚の発赤が起こることもあり、多くは無治療で軽快します。
推奨
- 手術部位とは異なる部位に感染症があれば、可能な限り同定し治療することが推奨されます。感染が寛解するまでは予定手術を延期することが推奨されます。
- 予定手術の少なくとも30日前からの禁煙が推奨されます。
- 糖尿病患者に限らず、術前から周術期にかけて血糖コントロールを行うことが推奨されます。目標値は200mg/dL以下です。