側頭骨骨折・外傷性耳性髄液漏

概要・推奨

概要

  • 側頭骨骨折は、頭部外傷によって生じ、顔面神経麻痺や耳性髄液漏(外リンパ瘻)などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。全側頭骨骨折のうち7〜10%に顔面神経麻痺を合併します。
  • 側頭骨骨折に伴う顔面神経麻痺は、受傷直後に発症する「即発性麻痺」と、24時間以上経過してから発症する「遅発性麻痺」に分類されます。即発性麻痺は神経の直接的な断裂や挫滅が原因で予後不良なことが多く、遅発性麻痺は神経管内の血腫や浮腫による圧迫が原因で予後は比較的良好です。
  • 骨折の形態は、錐体骨の長軸に平行に走る「縦骨折」と、長軸に垂直に走る「横骨折」に大別されます。縦骨折が約6〜7割を占めますが、顔面神経麻痺の合併率は縦骨折で25%、横骨折で50%と、横骨折の方が高くなります。
  • 外傷性耳性髄液漏(外リンパ瘻)は、骨折により内耳と中耳の間に瘻孔が生じ、内耳の外リンパが中耳腔へ漏出する状態です。
  • 外リンパ瘻の症状には、突発性、変動性、または進行性の難聴、耳鳴、耳閉塞感、めまいなどがあります。外耳道の加圧・減圧でめまいが誘発される瘻孔症状や、発症時に「pop音」を自覚することもあります。
  • 診断は、臨床症状や画像検査に加え、手術による瘻孔の直接確認、あるいは中耳洗浄液から外リンパ特異的蛋白であるCochlin-tomoprotein (CTP)を検出することによって確定されます。

推奨

  • 側頭骨骨折に伴う顔面神経麻痺に対しては、急性期治療としてステロイドの全身投与を行うことが推奨されます。
  • 重症の顔面神経麻痺に対しては、顔面神経減荷術を行うことが推奨されます。
  • 外傷による外リンパ瘻(耳性髄液漏)が疑われる場合、まず1週間程度の安静による経過観察が行われます。