運動器骨軟部の腫瘍、腫瘤
概要・推奨
概要
- 軟部腫瘍は、脂肪腫などの良性軟部腫瘍と、脂肪肉腫などの悪性軟部腫瘍に大別されます。良性軟部腫瘍は頻度の高い疾患ですが、悪性軟部腫瘍はまれであり、代表的な希少がんの一つです。
- 良性軟部腫瘍は悪性軟部腫瘍の少なくとも100倍の発生頻度と推定されています。
- 軟部腫瘍の発生頻度や種類は年齢によって異なり、組織型ごとに好発年齢があります。若年者に好発する腫瘍と、中・高齢者に好発する腫瘍があります。
- 悪性軟部腫瘍はやや男性に多い傾向がありますが、良性軟部腫瘍では女性に多い傾向を示すものもあります。
- 悪性軟部腫瘍は下肢、特に大腿に好発しますが、良性軟部腫瘍は手・手関節や背部・腰部など、悪性とは好発部位が異なります。
- 腫瘍の大きさが5cm以上の場合は、悪性腫瘍である可能性が高くなります。
- 組織型は多岐にわたります。良性では脂肪腫、神経鞘腫、血管腫など、悪性では脂肪肉腫、未分化多形肉腫、粘液線維肉腫などが多くみられます。
- 診断は、問診、身体所見、画像検査(X線、超音波、CT、MRIなど)、病理診断を組み合わせて行われます。MRIは腫瘍の性状評価に最も有用な画像検査です。
- 確定診断は病理診断によってなされ、必要に応じて免疫組織化学的染色や遺伝子検査が補助的に用いられます。
- 治療の基本は外科的治療です。特に悪性軟部腫瘍では、原則として腫瘍を健常な組織で包み込むように切除する広範切除術が行われます。
- 薬物療法や放射線療法は、補助療法として、あるいは切除不能な腫瘍や転移巣に対して行われます。
推奨
- 軟部腫瘍に対して、術前の適切な画像検査や生検を行わずに切除を行う無計画切除(unplanned excision)は、行わないことを提案します。
- 軟部腫瘍の病理診断において、十分な診断経験のある病理医が診断確定困難と感じた症例で、かつ特異的な遺伝子変異が期待される場合に限り、遺伝子検査を行うことを条件付きで推奨します。
- 悪性軟部腫瘍患者に対して、治療前に遠隔転移の診断(staging)を目的としてPET/CTを行うことを提案します。