人工関節置換術後の感染
概要・推奨
概要
- 人工関節置換術後の手術部位感染は、人工関節周囲感染(Periprosthetic Joint Infection: PJI)とも呼ばれます。
- 初回人工関節置換術における深部手術部位感染の発生率は0.2%から3.8%程度、再置換術では0.5%から17.3%程度と報告されています。
- 主な原因菌は黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌であり、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が原因となることも少なくありません。
- インプラント表面にバイオフィルムが形成されることが多く、これが難治性の要因となります。
- PJIの診断には、国際的なコンセンサス基準(Musculoskeletal Infection Society: MSIS基準など)が用いられます。臨床所見、血液検査(赤沈、CRP)、関節液検査(白血球数、白血球分画、培養)、画像検査、術中組織培養などを総合的に評価して診断します。
- 危険因子として、糖尿病、関節リウマチ、過去の手術歴、肥満、免疫抑制状態などが知られています。
推奨
- 予防として、人工関節置換術における抗菌薬の予防投与は手術部位感染の発生率を低下させるため推奨されます。
- 予防抗菌薬は、第一世代または第二世代セフェム系薬が推奨されます。β-ラクタム系薬アレルギーがある場合は、クリンダマイシンまたはバンコマイシンが考慮されます。
- 予防抗菌薬の初回投与は、手術開始前60分以内に静脈内投与を完了することが推奨されます。