小腸, 虫垂, 直腸の神経内分泌腫瘍(NET), カルチノイド

概要・推奨

概要

  • 消化管NETの典型的な内視鏡所見は、表面が平滑で、類円形の粘膜下腫瘍様の隆起です。黄色調を呈することが多く、増大すると中心陥凹や潰瘍を伴うことがあります。
  • 小腸神経内分泌腫瘍(NET)の、本邦の頻度は消化管NETの中で空腸原発が1.6%、回腸原発が0.6%と稀です。NET G1、G2がほとんどですが、リンパ節転移(72%)や遠隔転移(55%)を高頻度にきたします。腫瘍径2cm以下でも30%以上の症例で転移が認められます。腸管内に多発することがあります。症状は腸間膜の線維化による腹痛などが多く、肝転移を伴う症例の20〜30%でカルチノイド症候群を呈します。
  • 虫垂NETは、本邦では消化管NETの7.4%を占めます。発症年齢は38〜51歳とされますが、若年者での発生もあります。多くはNET G1、G2であり、低いステージでは5年生存率95〜100%と予後良好ですが、遠隔転移例では12〜28%となります。約70%は虫垂先端部に発生します。
  • 直腸NETは、本邦では消化管NETの55.7%を占め、特に下部直腸に好発します。リンパ節転移の危険因子として、腫瘍径1cm以上、腫瘍表面の陥凹や潰瘍形成、脈管侵襲、固有筋層浸潤、G2以上などが挙げられます。
  • カルチノイド症候群は、主にセロトニンなどの過剰分泌によって起こります。症状として、発汗を伴わない皮膚紅潮(dry flushing)、分泌性下痢、ペラグラ症状、右心不全を中心とする心臓弁膜症などがあります。原発巣は中腸(小腸など)が多いですが、気管支や肺、前腸(胃、十二指腸など)、後腸(結腸、直腸など)からも発生します。

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推奨

  • カルチノイド症候群が疑われる場合、セロトニンの代謝産物である尿中5-HIAAの測定(24時間蓄尿)が推奨されます。
  • 消化管NETが疑われる場合、内視鏡下生検や超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法(EUS-FNA)による組織診断と、病期診断目的にCTやMRIなどの画像検査による転移の検索が推奨されます。
  • 小腸NETは、根治切除が可能であれば、リンパ節郭清を伴う小腸切除術が推奨されます。