食道癌

概要・推奨

概要

  • 食道癌は、主に男性が全体の約70%を占め、60~70歳代に好発します。喫煙と多量飲酒が主な原因となる、難治性のがんの一つです。
  • 病態と組織型としては、日本では扁平上皮癌が圧倒的多数を占めており、部位は胸部中部食道が約47%と最も多く見られます。
  • 初期は無症状ですが、進行により、食道狭窄(食べ物がつかえる感覚)や嚥下障害、胸痛、体重減少などの症状が現れます。
  • 同時性・異時性の重複癌が多いことが知られており、食道だけでなく、咽頭・喉頭・胃など、他の臓器の癌の発生にも留意が必要です。。
  • 食道癌の治療は、外科手術、化学療法、放射線療法を組み合わせた集学的治療が標準であり、臨床病期(ステージ)別の治療方針が明確に分かれています。
  • 早期癌(cStage 0、T1aまで)に対しては、根治性が高く体への負担が少ない内視鏡的切除(ESD/EMR)が基本的な治療となります。
  • cStage II, IIIの進行癌で、耐術能がある症例では、根治性を高めるため、手術前に化学療法(DCF療法)または化学放射線療法(CRT)を行う術前補助療法が主流であり、特にDCF療法が現在の標準治療です。
  • 耐術能がない症例や食道温存を希望する患者に対しては、手術をせずに根治を目指す根治的化学放射線療法(CRT)が選択肢の一つとして推奨されています。
  • 切除不能または進行、転移・再発癌の治療は、症状緩和と延命を目的とし、免疫チェックポイント阻害剤(ニボルマブ、ペムブロリズマブ)を導入した化学療法が標準的な方法となっています。
  • 食道癌を根治した症例では、再発や新たな重複癌の発生を防ぐため、禁煙・禁酒の継続が最も重要な推奨事項とされています。
  • 治療後の再発や重複癌の早期発見のため、経過観察は定期的な内視鏡検査やCT検査を含む綿密なフォローアップが推奨されます。

推奨

  • 内視鏡的治療 (EMR/ESD):T1a(粘膜内癌)に対しては、原則として内視鏡的切除が強く推奨されます。内視鏡的切除後の狭窄予防として、ステロイド局注または内服、あるいは両者併用が強く推奨されます。
  • cStage I(T1bN0M0:粘膜下層浸潤癌)の初回治療は、食道切除術を弱く推奨しますが、食道温存を希望する場合は根治的化学放射線療法(CRT)も弱く推奨されます。
  • 早期癌 (cStage 0, I)に対する内視鏡的非治癒切除後の病理結果が非治癒切除例であった場合(pT1a-MMで脈管侵襲陽性やpT1b-SM)、追加治療が検討されます。追加治療は手術療法または化学放射線療法を推奨しますが、現時点では優劣を決定できません。