本態性血小板血症
概要・推奨
概要
- 本態性血小板血症(ET)は骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一種であり、JAK-STATシグナル伝達系を恒常的に活性化させる遺伝子変異によって血球の無秩序な増殖が引き起こされます。
- 原因となる遺伝子変異として、ETの約半数にJAK2変異が、20~30%にcalreticulin(CALR)変異が、3~8%にMPL変異が認められます。
- 血栓症を合併しやすく、これが主要な死因となります。100人・年あたりの血栓症発症回数は4~8回と報告されています。
- 生命予後は健常者とほぼ同等と良好であるため、治療の主眼は血栓症の予防となります。
- 血栓症のリスクは、年齢60歳以上または血栓症の既往がある患者を高リスクとし、それ以外を低リスクと分類します。JAK2変異の有無を考慮した新しいリスク分類も提唱されています。
- 生命予後は、年齢、初診時白血球数、血栓症の既往の有無によってリスク分類されます。
- 治療はリスク分類に基づいて行われ、血栓症低リスク群では定期的な経過観察、高リスク群では低用量アスピリン投与と細胞減少療法が基本となります。
推奨
- 血栓症低リスク群に対しては、定期的な経過観察が推奨されます。
- ただし、低リスクET症例の中でも、心血管リスク因子(喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病)がある場合やJAK2変異がある場合には、血栓症発症リスクを低下させるため抗血小板療法(アスピリン投与)を行うことが推奨されます。
- CALR変異陽性の低リスクET症例では、抗血小板療法は血栓リスクを低下させず出血リスクを上昇させる可能性があるため、推奨されません。