股関節唇損傷
概要・推奨
概要
- 股関節痛のある寛骨臼形成不全による変形性股関節症の大部分において、関節唇損傷が認められます。
- 寛骨臼形成不全では、関節唇が正常より大きくなって骨頭を被覆しており、関節唇への荷重負荷が増大していると考えられています。
- 変形性股関節症の進行に伴い、関節唇の変性や損傷も進行する傾向があり、その損傷部位は前上方から上方に多いとされています。
- 関節唇には知覚の受容器である神経終末が存在するため、関節唇の損傷は寛骨臼形成不全における疼痛の発生に関与する可能性があります。
- 損傷した関節唇に石灰化が存在することは、関節軟骨の変性の程度や疼痛と関連することが報告されています。
推奨
- Borderline dysplasia(境界型股関節形成不全)に対して、関節唇の部分切除や修復などを含む関節鏡下手術は、短期的な症状緩和や日常生活動作の改善に効果があるため提案されます。ただし、短期間で再手術が必要となる場合があることに留意する必要があります。
- 保存療法で改善しない大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)に対しては、断裂した関節唇のデブリドマンや縫合を含む手術療法(股関節鏡手術)が、短中期的な臨床症状の改善のために提案されます。この手術は保存療法と比較して疼痛改善やスポーツ活動レベルの向上で高い効果を示しますが、神経障害などの手術特有の合併症に留意する必要があります。