ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症
概要・推奨
概要
- ワクチン接種後に生じる稀な副反応として、血小板減少症を伴う血栓症(Thrombosis with Thrombocytopenia Syndrome: TTS, Vaccine-induced immune thrombotic thrombocytopenia: VITT)があります。
- 主にアデノウイルスベクターワクチンで注意が喚起されていますが、mRNAワクチンでも生じうると報告されています。
- TTS/VITTは、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と考えられています。
- 特徴として、1) ワクチン接種後4-28日に発症する、2) 血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位)、3) 中等度から重度の血小板減少、4) D-ダイマー著増(基準値の4倍以上)などの凝固線溶系マーカー異常、5) 抗血小板第4因子抗体(ELISA法)陽性、が挙げられます。
- 発症頻度は1万人から10万人に1人以下と極めて稀です。
- 出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率が高いことが報告されています。
- 血栓症は静脈系、動脈系ともに報告され、脳静脈血栓症や内臓静脈血栓症(門脈系血栓(症))、肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症、脳梗塞、急性心筋梗塞などが起こりえます。
- 通常の脳静脈血栓症と比較して出血を伴う頻度が高く、脳以外の複数部位に血栓症を合併している可能性も考慮する必要があります。
推奨
- TTS/VITTを疑った場合、抗血小板第4因子抗体(ELISA法)の検査結果を待たずに治療を開始することが推奨されます。
- TTS/VITTが疑われる時点で、未分画ヘパリン、低分子ヘパリン、ヘパリンロックや圧ラインを含め、すべてのヘパリン類の使用を避けるべきです。
- 抗血小板第4因子/ヘパリン複合体抗体の測定において、ラテックス凝集法(LIA)や化学発光免疫測定法(CLIA)は偽陰性になることが報告されているため、測定しないことが推奨されます。ELISA法での確認が必要ですが、日本ではコマーシャルベースでの測定は困難です。