性感染症に関連する咽喉頭炎

概要・推奨

概要

  • 近年、性行動の多様化やオーラルセックスの増加を背景に、口腔咽頭を介して性感染症に罹患する人が増えています。
  • 梅毒、後天性免疫不全症候群(AIDS)、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマの6つの主要な性感染症は、すべて口腔咽頭を介して感染する可能性があり、口腔咽頭に病変を生じる場合があります。
  • 梅毒では、後天梅毒の第1期から第2期にかけて口腔咽頭病変が現れることが多く、第1期では無痛性の初期硬結や硬性下疳が口唇、舌、口蓋扁桃に、第2期では粘膜斑や口角炎が生じます。口狭部や軟口蓋に生じる粘膜斑は蝶が羽を広げたような形態(butterfly appearance)を呈することがあります。
  • HIV感染症では、口腔粘膜病変が初発症状として現れる頻度が高く、カンジダ症、口腔毛様白板症、カポジ肉腫などが代表的です。特に20~40歳代の男性における難治性の口腔咽頭病変は、HIV感染を疑う契機となります。
  • 淋菌やクラミジア・トラコマティスによる咽頭感染は、多くが無症候性ですが、淋菌は咽頭炎や扁桃炎を、クラミジア・トラコマティスは上咽頭炎を生じることがあります。
  • 単純ヘルペスウイルス(HSV)の初感染では、一部の人に著明な咽頭痛、嚥下痛、高熱を伴う咽頭・扁桃炎や歯肉口内炎を発症することがあります。
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)のうち、高リスク型であるHPV16型は中咽頭癌との関連が注目されており、多くは口蓋扁桃が原発です。

推奨

  • 咽頭痛を訴える患者において、一見すると扁桃炎のように見えても、白色病変が扁桃周囲や口蓋弓、咽頭粘膜まで広がる場合には、梅毒を鑑別することが推奨されます。
  • 梅毒が疑われる場合、抗菌薬を投与すると病変が消退し特徴が失われる可能性があるため、診断前に抗菌薬を安易に投与することは推奨されません。
  • 20~40歳代の男性に難治性の口腔咽頭病変が認められる場合は、HIV感染を除外診断の候補として考慮することが推奨されます。