ウエストナイルウイルス感染症(脳炎など)
概要・推奨
概要
- ウエストナイルウイルスはフラビウイルス科フラビウイルス属に属し、主にイエカによって媒介されます。
- 感染環は鳥と蚊の間で維持され、鳥類、哺乳類、ヒトに感染します。
- アフリカ、中東、ヨーロッパ、南アジア、オーストラリア、北米など世界各地に分布しており、日本では輸入感染例が報告されています。
- 感染者の約80%は症状を示さない不顕性感染に終わります。
- 発症した場合の潜伏期間は3〜15日で、多くは発熱、頭痛、筋肉痛などを呈する急性熱性疾患として現れ、通常は3〜7日で回復します。
- 感染者の約1%が、髄膜炎や脳炎といった重篤な神経症状を呈します。神経症状を呈する確率は高齢者ほど高く、20歳未満に比べて50歳代では10倍、80歳以上では40倍といわれます。
- 神経症状では筋力低下を伴うことが多いとされます。
- 死亡率は4〜14%であり、高齢や免疫不全は予後を悪化させる因子です。
- 脳炎様症状を認める患者で流行地への渡航歴がある場合、本疾患を想起することが大切です。
- 地方衛生研究所や国立感染症研究所での行政検査によって確定診断が行われます。
- ウエストナイル熱は感染症法上では4類感染症であり、全数報告の対象となります。
推奨
- 特異的な治療法はなく、支持療法が中心となります。リバビリンや免疫グロブリンについては、有効性を示す十分なエビデンスはありません。
- 筋力低下を伴う脳炎様症状や、ギランバレー症候群様の臨床像を呈し、特に初夏から秋にかけての渡米歴などがある場合は、本症を積極的に疑い、専門家へ相談することが推奨されます。
- 診断は、血清または髄液中のウエストナイルウイルスに対するIgM抗体をELISA法で証明することによって行われます。日本脳炎ウイルスなど他のフラビウイルスに対するワクチン接種後には、偽陽性となる可能性があるため注意が必要です。