頸部嚢胞性疾患

概要・推奨

概要

  • 頸部嚢胞性疾患は、頸部に発生する液体が貯留した袋状の病変の総称です。代表的な疾患としてリンパ管奇形(リンパ管腫)が挙げられます。
  • リンパ管奇形は、リンパ管の発生異常により生じる大小のリンパ嚢胞を主体とした良性の腫瘤性病変です。
  • 嚢胞の大きさにより、比較的大きな嚢胞からなるマクロシスティック型と、小さな嚢胞が集まったミクロシスティック型、および両者が混在する混合型に分類されます。
  • 発生頻度は1,000〜5,000出生に1人と推定され、多くは乳幼児期に発見されますが、成人になってから気づかれることもあります。
  • 主な症状は無症状の腫瘤ですが、感染や内出血を繰り返して急に大きくなったり、痛みを伴ったりすることがあります。
  • 発生部位によっては、気道を圧迫して呼吸困難を引き起こしたり、嚥下障害や整容的な問題を生じたりすることがあります。
  • 原因として、一部の症例でPIK3CA遺伝子などの体細胞モザイク変異が関与していることが報告されています。
  • 成人発症の側頸部嚢胞性腫瘤は、先天性嚢胞(側頸嚢胞)だけでなく、HPV関連中咽頭癌や甲状腺乳頭癌などの嚢胞性リンパ節転移を含む悪性疾患の可能性を常に念頭に置き、安易に良性と断定しないことが重要です。

推奨

  • 頸部の嚢胞性疾患が疑われる場合、まずは視診や触診に加え、超音波検査を行うことが推奨されます。超音波検査は病変の性状(嚢胞性か充実性か)を評価するのに有用です。
  • 病変の広がりや周囲の臓器との関係を詳しく評価するために、MRI検査が推奨されます。
  • 診断を確定するため、あるいは他の疾患との鑑別のために、穿刺吸引細胞診が行われることがあります。特に成人の頸部嚢胞性腫瘤では、画像検査による原発巣検索と進展評価を行い、確定診断目的で穿刺吸引細胞診が優先されます。