静座不能(アカシジア)
概要・推奨
概要
- アカシジアは静座不能症とも呼ばれ、強い不安焦燥感や内的不隠を伴い、「じっとしていられない」「じっと座っていられない」といった状態を示します。
- 自覚症状としては体や足がソワソワしたりむずむずしたりして落ち着かず、動き回りたくなる強い衝動を訴えることが多いです。この症状は歩行や運動によって症状が軽減されることが特徴です。診察では貧乏揺すり、ベッド上での体動の繰り返し、足踏み、姿勢の頻繁な変更、理由なく歩き回るなどの運動亢進症状が観察されます。
- 重症例では苦痛が耐え難くなり、衝動的に自らを傷つけたり、自殺を考えたりする危険性があるため注意が必要です。
- 主な原因は抗精神病薬ですが、抗うつ薬、制吐薬、胃腸薬などドパミン受容体遮断作用を持つ薬剤であればいずれも発症しうる副作用です。特に一般内科診療で使用されるメトクロプラミドによる発症には注意が必要です。
- 発症時期により急性、遅発性、離脱性に分類されます。急性アカシジアは原因薬剤の開始・増量後、あるいは抗コリン薬の減量・中止後6週間以内に発現します。遅発性アカシジアは3カ月以上の投与後に発現するもので、離脱性アカシジアは3カ月以上投与された薬剤の中断後6週間以内に発症します。
- 鉄欠乏や糖尿病がアカシジア発現の危険因子となることが指摘されています。
- 症状は通常は可逆的であり、原因薬剤の投与中止や減量によって消失または軽減します。
推奨
- アカシジアは主に薬剤による副作用として出現するため、その予防が最も重要です。高力価・高用量の第一世代抗精神病薬(定型抗精神病薬)の使用を避け、第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)を選択します。
- 発症した場合、まず原因薬剤の減量を検討します。精神科治療中の患者では減量や中止の是非を慎重に判断する必要がありますが、制吐薬や胃腸薬が原因であれば中止または他剤への変更を速やかに行います。ドンペリドンやメトクロプラミドなどドパミン遮断作用の強い制吐薬で発症した場合は、モサプリドなど非ドパミン系制吐薬への切り替えを検討します。
- 患者の自己判断による服薬中止は他の重篤な副作用を引き起こす可能性があるため、必ず医師または薬剤師に相談するよう指導します。