顔面神経麻痺(Bell麻痺、Hunt症候群:耳性帯状疱疹)
概要・推奨
概要
- 顔面神経麻痺は、顔の表情筋を動かす顔面神経が麻痺する疾患です。その多くは末梢性であり、Bell麻痺とRamsay Hunt症候群(Hunt症候群)が代表的です。
- Bell麻痺は末梢性顔面神経麻痺の中で最も頻度が高く、全体の60~70%を占めます。発症頻度は人口10万人あたり毎年20~40人で、50歳代に最も多くみられます。原因の多くは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の再活性化、その次に水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)による無疱疹性帯状疱疹と考えられています。Bell麻痺の自然治癒率は約70%ですが、治療により約95%が治癒します。
- Hunt症候群は末梢性顔面神経麻痺の10~15%を占め、罹患率は人口10万人あたり年間3~5人程度です。VZVの再活性化によって引き起こされ、顔面神経麻痺に加えて耳介や口腔咽頭の帯状疱疹、難聴、耳鳴、めまいなどの第8脳神経症状を伴うことが特徴です。3主徴が全て揃う典型例は58%のみで、Bell麻痺と比較して重症であることが多いです。
- これらの麻痺は、ウイルスによる神経炎で顔面神経が腫れ、骨の管(顔面神経管)の中で圧迫(絞扼)されることで発症・悪化すると考えられています。
推奨
- 急性期のBell麻痺患者さんには、重症度を問わず通常量のステロイド全身投与を行うことが推奨されます。発症後3日以内に治療を開始し、軽症例にはプレドニゾロン30mg/日(内服)、中等症例には60mg/日(内服)、重症例には120~200mg/日(点滴)を投与し、7~10日間で漸減終了します。
- Bell麻痺の重症例では通常量のステロイドに加えて抗ウイルス薬(バラシクロビル1000mg 1日3回、5日間)を投与することが推奨されます。この他、重症例にはステロイド鼓室内投与の追加や、ENoG値10%未満の場合は顔面神経減荷術も推奨されます。