慢性咳嗽
概要・推奨
概要
- 慢性咳嗽は、8週間以上持続する咳と定義されます。
- 日本国内における慢性咳嗽の有病率は2.2%から2.89%と推定されています。
- 慢性咳嗽の主な原因疾患として、本邦では咳喘息や喘息が最も多く、次いで副鼻腔気管支症候群(SBS)、アトピー咳嗽、胃食道逆流症(GERD)などが挙げられます。複数の原因が合併することも少なくありません。
- 診療においては、まず肺癌や肺結核といった重篤な疾患を除外することが重要です。
- 胸部X線写真で明らかな異常を認めない場合は、病歴や症状から原因疾患を推定し、治療的診断を行います。
- 例えば、咳喘息を疑う場合は気管支拡張薬を、アトピー咳嗽を疑う場合はヒスタミンH1受容体拮抗薬を、GERDを疑う場合はプロトンポンプ阻害薬(PPI)などを投与し、症状の改善を確認することで診断します。
- これらの治療に反応しない場合や原因が特定できない場合は難治性慢性咳嗽とされ、その背景には咳過敏症候群(CHS)という病態が存在すると考えられています。
- 近年では、個々の患者における治療可能な特性(Treatable traits)を見出し、それに対して治療介入するというアプローチも重要視されています。
推奨
- 慢性咳嗽の治療は、原因疾患を特定し、それに応じた特異的な治療を行うことが原則となります。
- 咳喘息や喘息が原因の場合は、吸入ステロイド薬(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合薬による治療が推奨されます。これに加えて、吸入抗コリン薬の使用も推奨されます。
- 胃食道逆流症(GERD)が原因の場合は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)の投与が推奨されます。