エタノール中毒

概要・推奨

概要

  • 急性エタノール中毒は、飲料アルコールや含エタノール製剤の過量摂取により中枢神経抑制を来す状態である。
  • 若年者の一気飲みから高齢者・基礎疾患を有する患者の昏睡まで、救急外来受診の頻度が高い中毒である。
  • 病態生理学的には、中枢神経系におけるGABA作動性の増強とNMDA受容体の抑制を介した全般的な抑制作用に加え、低血糖、低体温、脱水、電解質異常が合併し得る。特に小児や栄養不良・慢性アルコール多飲者では低血糖のリスクが高い。
  • 大部分の症例は支持療法のみで自然改善するが、深昏睡や嘔吐に伴う誤嚥、呼吸抑制、外傷・頭部外傷の見逃しなどにより致命的となる場合があり、気道・呼吸管理と全身評価が治療の根幹となる。
  • なお、メタノールやエチレングリコールなど他の有害アルコール類の混合摂取では、臨床像が急性エタノール中毒と類似しうるため、代謝性アシドーシスや浸透圧ギャップの増大などを手掛かりに鑑別し、別途解毒薬や血液浄化療法の適応を検討する必要がある。

推奨

  • 急性エタノール中毒では、治療の基本は支持療法であり、まず気道・呼吸・循環の安定化を優先する。
  • 意識障害や嘔吐を伴う症例では、誤嚥防止の体位管理とともに、必要に応じて気管挿管を含む積極的な呼吸管理を検討する。
  • 初期評価では血糖測定を必ず行い、低血糖があれば速やかに補正し、慢性飲酒者や栄養不良が疑われる場合にはチアミン投与を併用することが望ましい。