梅毒(感染症科)

概要・推奨

概要

  • 梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる、多臓器にわたる慢性の全身性感染症です。
  • 主に性的接触によって感染しますが、感染した母親から胎盤を介して胎児に感染する先天梅毒もあります。
  • 日本国内では2011年頃から報告数が増加しており、2022年には10,000例を超えました。女性では20歳代の報告が最も多く、妊婦の感染も毎年200例前後報告されています。それに伴い、先天梅毒の報告も年間20例前後で推移しています。
  • 臨床経過は病期によって異なり、早期梅毒(第1期、第2期)、潜伏梅毒、後期梅毒(第3期)に大別されます。
  • 第1期では感染部位に無痛性の潰瘍(硬性下疳)が、第2期では手掌や足底を含む全身に多彩な発疹が出現します。臨床像が多様であることから「great imitator(模倣の達人)」とも呼ばれます。
  • 潜伏梅毒は無症状の期間であり、後期梅毒では数年から数十年を経てゴム腫や心血管、神経の障害を引き起こすことがあります。
  • 先天梅毒は流産、死産、早産の原因となるほか、出生した児に様々な症状を引き起こします。出生時に無症状の児が6割以上を占めますが、後に皮膚症状、骨軟骨炎、肝脾腫などが現れます。
  • 母子感染のリスクは、無治療の場合、母親の病期が早期梅毒第1期、第2期で約70-100%と最も高くなります。また、妊娠の後期に感染するほど胎児への感染率が高くなります。

推奨

  • 梅毒の診断は、血清抗体検査で行うことが推奨されます。疾患の活動性を反映する非トレポネーマ抗体検査(RPR法など)と、感染の既往を示すトレポネーマ抗体検査(TPHA法など)を組み合わせて評価します。
  • 治療効果の判定には、定量化した非トレポネーマ抗体検査が用いられます。
  • 神経症状や眼症状など神経梅毒が疑われる場合には、髄液検査を行うことが推奨されます。