赤痢菌性胃腸炎

概要・推奨

概要

  • 赤痢とは、疼痛を伴う頻回の粘血便を指す症候名です。
  • 原因菌はShigella属で、S. dysenteriae (group A)、S. flexneri (group B)、S. boydii (group C)、S. sonnei (group D) の4つの種・血清型(亜群)があります。
  • 国内症例では約80%がS. sonneiで、それにS. flexneriが10数%で続きます。最も病原性が強いS. dysenteriaeによる症例は、国内外ともに1%程度です。
  • 胃酸に比較的強く、非常に少量の菌で感染が成立するため、感染力が強い細菌の一つです。
  • 主にヒトからヒトへ直接感染します。
  • 菌は腸管上皮細胞内に侵入し、隣接する細胞へ感染を広げます。志賀毒素(Shiga-toxin)により細胞が破壊され、腸管粘膜に潰瘍が形成されます。
  • サルモネラ菌とは異なり、血流感染症は少ないです。
  • 潜伏期間は24〜48時間です。
  • 初期には小腸で菌が増殖して発熱や腹痛が生じ、その後、菌が大腸に移行して下腹部痛、裏急後重、粘血便を伴う下痢といった二相性の臨床像を呈することがあります。
  • 合併症として、関節炎、Reiter症候群、肺炎(免疫不全例)、角結膜炎、免疫複合体関連腎炎、溶血性尿毒症症候群(HUS)などが報告されています。

推奨

  • 診断のために、便培養による原因菌の検出が推奨されます。
  • 抗菌薬治療は、罹病期間を短縮させる効果があるため、全ての症例で行うことが推奨されます。
  • 二次感染を防止する公衆衛生上の観点からも抗菌薬治療は重要であり、本疾患は感染症法で3類感染症に位置づけられています。