急性胃炎・慢性胃炎

概要・推奨

概要

  • 胃炎は経過により急性胃炎と慢性胃炎に大別され、急激に発症し内視鏡でびらん・潰瘍・出血などの急性病変を認めるものを急性胃粘膜病変(acute gastric mucosal lesion:AGML)と呼びます。
  • AGMLは1968年にKatzらが提唱した概念であり、acute erosive gastritis、acute gastric ulcer、acute hemorrhagic gastritisおよびこれらが混在するものを含みます。本邦では川井らが提唱した急性胃病変(acute gastric lesion:AGL)とほぼ同義語として用いられています。
  • 急性胃炎とAGMLは基本的に同一の疾患概念であり、軽度のものを急性胃炎、症状や病変の程度が強いものをAGMLと呼ぶ傾向にあります。
  • AGMLの20〜30%は胃だけでなく十二指腸球部や下行脚にも同様の病変を合併し、その場合は急性胃十二指腸粘膜病変(acute gastroduodenal mucosal lesion:AGDML)と呼びます。
  • Helicobacter pylori感染以外の成因による胃炎は、原因ごとに内視鏡所見と病理所見が異なるため、原因別に整理して理解することが有用です。
  • H. pylori感染以外の成因による胃炎には、薬剤起因性胃粘膜病変、自己免疫性胃炎、NHPH(non-Helicobacter pylori Helicobacter)感染胃炎、感染性胃炎、好酸球性胃炎、肉芽腫性胃炎、門脈圧亢進症性胃症、炎症性腸疾患に伴う胃病変、collagenous gastritis、GAPPSがあります。
  • 胃炎の内視鏡所見のうち、逆萎縮、残存胃底腺粘膜、固着粘液は自己免疫性胃炎、ひび割れ粘膜はNHPH感染胃炎、蜘蛛の巣様粘液や白点は酸分泌抑制薬による胃粘膜変化などというように診断する手がかりとなります。
  • いずれの病型も内視鏡所見のみでは確定できないものが多く、生検による病理組織学的評価と、服薬歴・既往歴を含めた臨床情報の統合が診断の基本となります。

推奨

  • 急激な上腹部痛、悪心・嘔吐、吐血・下血で受診した患者では、AGMLを念頭に現病歴・服薬歴・既往歴・生活習慣を聴取し、早期に上部消化管内視鏡検査を行うことが推奨されます。
  • 内視鏡検査前には服薬歴を確認することが推奨され、薬剤起因性胃粘膜病変が疑われる場合は原因薬剤の中止や変更を検討します。
  • 胃体部優位の高度萎縮を認めた場合は自己免疫性胃炎を疑い、胃自己抗体の測定と生検による組織診断を行うことが推奨されます。