原発性副甲状腺機能亢進症
概要・推奨
概要
- 原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は、副甲状腺からの副甲状腺ホルモン(PTH)の自律的かつ過剰な分泌により、高カルシウム(Ca)血症をきたす疾患です。
- 疫学的には男女比が約1:3で、閉経後の女性に好発します。近年、新規に診断される症例の多くは、他の目的で行われた血液検査で偶然発見される無症候性のものです。
- 原因の80%以上は単一の良性腺腫であり、複数腺の過形成が約10%、副甲状腺癌は1%程度です。多発性内分泌腫瘍症(MEN)1型などの遺伝性疾患が背景にある場合もあります。
- 古典的な症状として骨病変(線維性骨炎、骨量減少)や腎・尿路結石がありますが、現在これらの症状を呈する症例は減少しています。無症候性であっても、倦怠感、筋力低下、抑うつなどの非特異的な症状を認めることがあります。
- 診断は、高Ca血症(アルブミン補正Ca値またはイオン化Ca値)と、それに見合わない不適切なPTH高値(または正常上限)を確認することでなされます。鑑別診断として家族性低カルシウム尿性高カルシウム血症(FHH)が重要です。
- 治療方針の決定と手術計画のために、頸部超音波検査、99mTc-MIBIシンチグラフィー、CTなどの画像検査で責任病変の位置を特定する局在診断が行われます。
- 唯一の根治的治療は、手術による病的副甲状腺の摘出(PTx)です。症候性症例や、無症候性でも特定の基準を満たす場合は手術が推奨されます。手術適応がない、または手術を希望しない症例に対しては、定期的な経過観察や薬物療法(カルシミメティクス、骨吸収抑制薬など)が行われます。
推奨
- 原発性副甲状腺機能亢進症の診断には、アルブミン補正Ca、イオン化Ca、インタクトPTH、クレアチニン、eGFR、25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)を測定することが推奨されます。25-ヒドロキシビタミンD(25(OH)D)は診断に関して保険適応外である点は注意です。
- 正Ca血症性PHPTの診断では、腎機能低下やビタミンD欠乏など、二次的にPTHを上昇させる要因を除外することが必須です。
- 局在診断の最初の検査として、頸部超音波検査を行うことが望ましく、必要に応じてCTや99mTc-MIBIシンチグラフィーを追加します。