単純ヘルペス脳炎
概要・推奨
概要
- 単純ヘルペス脳炎は、初期治療が患者の転帰に大きく影響するため、緊急対応を要する疾患として位置づけられています。
- 先進国では、散発性に起こるウイルス性脳炎の中で最も頻度が高く、急速に重症化することがあります。
- 日本における発生頻度は、年間100万人あたり3.5〜3.9人と推計されています。
- あらゆる年齢で発症しますが、小児や高齢者にやや多くみられ、発生に性差や季節性はありません。
- 成人では発熱、頭痛で発症し、数日後に意識障害、痙攣、異常言動などの高次脳機能障害を呈するのが一般的です。
- 新生児では発熱、哺乳力低下、活気の低下といった非特異的な症状で発症することが多く、小児では発熱や痙攣が高頻度にみられます。
- アシクロビルの登場により死亡率は未治療時の60〜70%から10〜15%へと低下しましたが、死亡と高度後遺症を含めた転帰不良率は33〜53%と依然として高く、社会復帰率は約半数です。
- 後遺症としては記憶障害や人格障害の頻度が高く、小児、特に新生児や未熟児では高率に重篤な後遺症を残します。
推奨
- ウイルス性脳炎が疑われるすべての患者様に対して、検査結果を待つことなくアシクロビルによる治療を開始することが推奨されます。
- 受診からアシクロビル投与開始までの時間は6時間以内が望ましいとされます。
- 確定診断には、髄液を用いた単純ヘルペスウイルス(HSV)DNAの高感度PCR検査が推奨されます。発症早期では偽陰性となることがあるため、臨床的に本症が強く疑われる場合には再検査が推奨されます。