野球肘、離断性骨軟骨炎
概要・推奨
概要
- 野球肘の一種である上腕骨小頭離断性骨軟骨炎は、投球動作によって肘の外側にある上腕骨小頭に繰り返しの圧迫力や剪断力が加わることで生じるスポーツ障害です。
- 骨の成長が未熟な小学校高学年から中学校低学年の野球選手に好発します。
- 病態は、軟骨の下にある骨が部分的に壊死する初期(透亮期)から、骨軟骨片が分離する進行期(分離期)、さらに関節内を浮遊する遊離体(関節ねずみ)となる終末期(遊離期)へと進行します。
- 初期段階では症状に乏しく、半数以上は痛みや可動域制限を認めません。痛みがあっても軽度で数日で消失することが多く、発見が遅れる傾向にあります。
- 進行すると、運動時の肘の痛みが増強し、肘が完全に伸びなくなる伸展制限(5〜30°)が特徴的にみられます。終末期には、遊離体が関節に挟まることで肘が動かなくなるロッキングという症状が起こることもあります。
- 発見が遅れて病状が進行した場合、野球への復帰が困難になるだけでなく、日常生活に支障をきたす後遺症が残る可能性があります。
推奨
- 診断には、通常のX線検査に加えて、肘を45°屈曲させた状態での正面撮影(tangential撮影)が病変の正確な把握に必須とされます。また、MRI検査は骨壊死の状態を評価でき、早期診断に有用です。
- 初期(透亮期)の治療では、3〜6ヵ月間の投球中止と、3〜6週間のギプスや装具による局所の安静を中心とした保存療法が推奨されます。
- 進行期(分離期・遊離期)では、ごく小範囲の病変を除き、良好な予後と早期のスポーツ復帰を目指すために手術療法が推奨されます。手術では、骨釘を用いた骨移植や骨接合術などの病巣部を温存する方法や、遊離体の摘出術などが行われます。