旅行者下痢症
概要・推奨
概要
- 旅行者下痢症は、旅行者において最も大きな健康問題の一つとされています。
- 途上国に旅行した場合、60%以上が経験するという報告があります。
- 原因はウイルス性腸炎が最多であり、次に細菌性腸炎が多いとされています。
- 原因となる病原体は渡航地域によって異なり、東南アジア以外では腸管毒素原性大腸菌(ETEC)が30%前後を占め、次に腸管凝集性大腸菌(EAEC)、ノロウイルスと続きます。
- 日本人の渡航先として多い東南アジアでは、カンピロバクターが約30%を占め、キノロン系抗菌薬への耐性率が高いことが特徴です。
- 通常は1〜3日程度で改善します。
- 渡航地域で発病して抗菌薬を内服している場合は、Clostridioides difficile感染症も鑑別診断となります。
- マラリアやデング熱やエボラ出血熱などの全身性発熱疾患でも下痢症状を伴うことがあるため、他の熱帯感染症の可能性も常に考慮すべきです。
推奨
- 診断と治療において、脱水と臓器障害の有無を確認し、脱水があれば補液を行うことが推奨されます。
- 排便回数、色調、便の性状を確認することが推奨されます。
- 中等症以上の水様下痢で海外の発展途上国から帰国して約1週間以内の場合には、抗菌薬投与を検討することが推奨されます。