アキレス腱断裂
概要・推奨
概要
- アキレス腱断裂は人口10万人に対して6~41人程度の発生があり、近年増加傾向にあります。男性では30~40歳代、女性では40~50歳代に多く、スポーツ活動中の受傷が多数を占めます。
- アキレス腱の変性が断裂の基盤にあると考えられており、腱の肥厚は危険因子の一つです。Fluoroquinolone系抗菌薬やステロイド薬の使用、高脂血症なども関連が示唆されています。
- 診断は、受傷時の特徴的な病歴(「蹴られた感じ」「pop音」など)と、アキレス腱部の陥凹触知、Simmonds-Thompson testなどの理学所見でほとんどが可能です。画像検査は、骨折との鑑別や断裂形態の詳細な評価に有用です。
- 治療法には保存療法と手術療法があります。従来の保存療法は手術療法に比べて再断裂率が高いとされてきましたが、早期運動療法を取り入れた機能的な保存療法では、手術療法と同等の成績も報告されています。保存療法は手術に伴う合併症のリスクが低いという利点があります。
- 手術療法は再断裂率が低く、直視下での端々縫合術や経皮的縫合術が行われます。術後の早期運動療法は機能回復を促進します。自家組織による補強術やPRP療法の有効性は確立されていません。
- 治療法にかかわらず、患側には筋力低下などの機能低下が残存することがあります。深部静脈血栓症は、治療法によらず一定の頻度で発生する合併症です。
推奨
- 診断においては、特徴的な病歴の聴取に加え、アキレス腱の陥凹の触知、Simmonds-Thompson test(Calf squeeze test)などの複数の理学所見を組み合わせて行うことが推奨されます。
- 保存療法は有用な治療選択肢です。実施する際は、再断裂のリスクを低減するため、装具などを用いて早期から可動域訓練や荷重を行う機能的療法が推奨されます。
- 手術療法は、再断裂率を低減させる点で推奨されます。術式としては、直視下での端々縫合術や、感染リスクの低い経皮的縫合術が有用です。