偽膜性腸炎
概要・推奨
概要
- Clostridioides difficile感染症(CDI)は、医療関連感染として最も多くみられる、嫌気性菌Clostridioides difficileによる感染症です。下痢症や偽膜性腸炎などの多様な症状を示します。
- 主な症状は下痢ですが、腹痛や発熱を伴うこともあります。重症化すると、偽膜形成、出血、まれに腸管穿孔、中毒性巨大結腸症、イレウスを呈することがあります。
- 診断は、原則として2歳以上でBristol Stool Scale 5以上の下痢があり、便検査でC. difficileのトキシンまたはトキシン産生菌が検出されるか、内視鏡検査や病理組織検査で偽膜性腸炎の所見が認められることでなされます。
- 発症の主なリスク因子として、高齢であることと抗菌薬の使用が挙げられます。その他、過去の入院歴、消化管手術歴、慢性腎臓病や炎症性腸疾患などの基礎疾患、経管栄養、制酸薬(プロトンポンプ阻害薬など)の使用もリスクとなります。
- 適切な治療を行っても、初回感染者の約10~20%が再発を経験します。一度再発すると、さらに再発する頻度は40~65%と高くなります。
推奨
- CDIの診断には、下痢症状(Bristol Stool Scale 5以上)を呈している患者の便検体を用いることが推奨されます。症状のない患者への検査は推奨されません。
- 検査法としては、感度の高い核酸増幅検査(NAAT)の実施が推奨されます。あるいは、グルタミン酸脱水素酵素(GDH)・トキシン抗原検査とNAATを組み合わせたアルゴリズムも選択肢となります。
- 初発の非重症例には、メトロニダゾールの経口投与もしくは点滴静注が推奨されます。ただし、再発リスクを有する場合は、フィダキソマイシンまたはバンコマイシンの経口投与が推奨されます。