腸チフス・パラチフス

概要・推奨

概要

  • 腸チフスはSalmonella Typhi、パラチフスはSalmonella Paratyphiによる感染症ですが、両者の症状に差はありません。
  • 臨床的には、消化器感染症というよりも腹痛を伴う発熱といった全身症状が前面に出る感染症です。
  • S. Typhiはヒトのみが宿主であり、主に保菌者の便や尿に汚染された食物や水を介して感染します。
  • 近年の腸チフス患者の約80%は輸入例で、感染地はインド・パキスタン・ネパール・インドネシアなどのアジア諸国が多いですが、国内での発生報告もあります。
  • 潜伏期間は典型例で1〜2週間ですが、5〜21日と幅があります。
  • 第1病週に発熱、比較的徐脈、バラ疹、脾腫、第2病週に高熱の稽留、肝脾腫、昏迷状態、第3病週に腸出血や腸穿孔といった症状がみられることがあります。
  • 合併症として、希ですが細菌性動脈瘤、骨髄炎、髄膜炎、心内膜炎、肺炎などを生じることがあります。
  • 感染症法では三類感染症に分類され、診断した医師は直ちに最寄りの保健所へ届け出る必要があります。

推奨

  • 便、血液、骨髄、皮疹の培養で原因菌を検出することで診断されます。血液培養の陽性率は50〜60%ですが、骨髄培養は90%と高いです。
  • 腸チフス・パラチフスは、抗菌薬による治療が常に必要です。
  • 南アジアや東南アジアではキノロン系薬の感受性が低い株が優勢であるため、薬剤感受性試験結果が判明するまではセフトリアキソンやアジスロマイシンの選択が推奨されます。