腰椎椎間板ヘルニア
概要・推奨
概要
- 腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の髄核が後方の線維輪を穿破して後方あるいは後側方に突出し、神経根や馬尾を圧迫して腰痛や下肢の痛み・しびれ(坐骨神経痛)などの症状を引き起こす疾患です。
- 有病率は約1%とされ、20~40歳代の男性に多く、好発高位はL4/5椎間とL5/S1椎間です。
- 主な症状は腰痛と、圧迫された神経根の支配領域に沿った片側性の下肢痛やしびれです。
- 椎間板の加齢性変化を基盤とし、重量物挙上やスポーツなどの外力が誘因となることがあります。遺伝的要因の関与も指摘されています。
- ヘルニアの形態は、後縦靭帯の穿破の有無などにより、膨隆型(bulging type)・突出型(protrusion type)、後縦靭帯下脱出型(subligamentous extrusion type)、経靭帯脱出型(transligamentous extrusion type)、遊離脱出型(sequestration type)に分類されます。
- ヘルニア塊は、炎症反応やマクロファージの貪食作用により、自然に縮小・消失することがあります。
- ヘルニアの形態では、sequestration typeとextrusion typeは特に吸収されやすく、造影MRIでリング状に造影されるヘルニアも吸収されやすい傾向があります。
- 腰椎椎間板ヘルニアは、下肢への放散痛や腰痛を伴う激痛で突然発症することが多い疾患です。
- 症候性の腰椎椎間板ヘルニアは60%以上の症例で画像上の退縮が認められ、それに伴い症状も軽快します。
- 自然経過として、多くは発症から数カ月以内に保存療法で症状が軽快します。 6週間以内に約70%の患者で疼痛が軽減します。
- 診断は、症状、神経学的所見、MRIを中心とした画像所見を総合的に行います。
- 治療は保存的治療が基本ですが、保存療法で十分な効果が得られず、日常生活が困難な状態が長期化することがあります。
- 保存的治療が無効な場合や、重篤で進行性の運動麻痺、馬尾障害が出現した場合には手術的治療が実施されます。
- 保存的治療後に手術的治療に至る割合は、症状や脱出形態により異なりますが、20〜50%程度と報告されています。
- 外科治療の歴史は、従来の直視下手術から顕微鏡下手術、そして近年では内視鏡を用いた低侵襲手術へと発展しており、患者の身体的負担の軽減と早期の社会復帰を目指す流れにあります。
推奨
- 診断は、問診(症状の部位、性質、発症時期など)、身体所見(下肢伸展挙上テストなど)、神経学的所見(感覚障害、筋力低下、反射の異常)を評価することが推奨されます。
- MRI検査は、椎間板ヘルニアによる神経組織の圧迫状態を詳細に把握できるため、診断に非常に有用です。
- 臨床所見と画像所見が一致することを確認して診断することが重要です。