免疫性血小板減少症(ITP)

概要・推奨

概要

  • 免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia, ITP)は、免疫的な機序により血小板減少をきたす後天性の疾患です。
  • 以前は特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura)と呼ばれていましたが、病態が免疫異常によることが明らかになったこと、また紫斑を認めない症例も多いことから、国際的にはimmune thrombocytopeniaの略語として用いられています。
  • 合併する疾患や薬剤に起因しないものを一次性ITP、合併する疾患や薬剤に起因するものを二次性ITPと呼びます。
  • 日本では約25,000人の患者がいると推定され、年間の新規発症数は10万人あたり2.16人と推計されています。6歳以下の小児、20~34歳の女性および高齢者に好発します。
  • 病態は、主に血小板膜糖蛋白(GPIIb/IIIa、GPIb/IXなど)を標的とする自己抗体が産生され、この抗体が結合した血小板が脾臓などの網内系で破壊されることで血小板が減少します。また、自己抗体は巨核球の成熟障害やアポトーシスを誘導し、血小板の産生も障害します。
  • ITPに特異的な検査が確立されていないため、診断は血小板減少(10万/μl未満)を認めるものの、赤血球や白血球には異常がなく、血小板減少をきたす他の疾患を除外するという、除外診断が基本となります。
  • 出血症状としては、点状出血や斑状出血といった紫斑が多くみられます。血小板数が1万/μl以下に低下すると、鼻出血、消化管出血、血尿などの粘膜出血がみられることがあり、成人で約1%、小児で約0.4%に致命的な脳出血が生じることがあります。成人では出血症状を認めない例も少なくありません。
  • 発症からの期間によって、新規診断ITP(3ヶ月以内)、持続性ITP(3~12ヶ月)、慢性ITP(12ヶ月以上)に分類されます。

推奨

  • 治療の目標は、血小板数を正常値に戻すことではなく、重篤な出血を予防できる血小板数(通常3万/μl以上)を安全に維持することです。
  • 治療効果は、完全奏効(血小板数10万/μl以上)、部分奏効(血小板数3万/μl以上かつ治療前値の2倍以上)、無効の基準で判定されます。完全奏効と部分奏効には出血症状がないことが条件に含まれます。
  • ITPと診断された場合、まずヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染の有無を検査し、陽性であれば除菌療法を行うことが推奨されます。ただし、出血症状が重篤な場合は、緊急時の治療が優先されます。