低出生体重児における消化管機能とそのマネージメント
概要・推奨
概要
- 低出生体重児は、周産期医療の進歩により救命率が改善していますが、種々の臓器の未熟性に起因する合併症が課題となっています。
- 特に、出生体重1500g未満の極低出生体重児では、壊死性腸炎、特発性腸穿孔(限局性腸穿孔)、胎便関連性腸閉塞といった消化管機能障害が重篤な合併症であり、生命予後や長期予後を左右します。
- 壊死性腸炎(NEC)は、未熟な腸管に低酸素血症、細菌感染などが加わって腸管の壊死が生じる疾患です。
- 特発性腸穿孔(FIP)は、壊死性腸炎の所見を伴わない限局性の腸管穿孔で、生後1週前後の超低出生体重児に多く見られます。
- 胎便関連性腸閉塞(MRI)は、腹部膨満や胎便排泄遅延を特徴とする機能的腸閉塞で、極低出生体重児によく見られます。
- 本邦における超低出生体重児の消化管穿孔発症率は5.36%と報告されており(2003-2007年)、手術症例の内訳ではNEC、FIP、MRIがほぼ同じ頻度でみられます。
- 早産児・低出生体重児は未熟児貧血(鉄欠乏性貧血)をきたしやすく、生後4~8週に出現するエリスロポエチン分泌低下の貧血と、生後16週以降に出現する鉄欠乏が原因の晩期貧血があります。
- 鉄欠乏は脳のエネルギー代謝や神経伝達、髄鞘化に影響を及ぼし、神経発達に影響を与える可能性があります。一方で、鉄の過剰投与は酸化ストレスを介して慢性肺疾患や壊死性腸炎などの合併症リスクを高める可能性があります。
- 早産児は呼吸器や免疫機能が未熟なため、RSウイルス(RSV)感染症が重症化しやすいリスクがあります。
推奨
- 母体ステロイド投与は、消化管機能障害の発症予防に効果があるというエビデンスはありませんが、入院中死亡を減少させるなどの効果があるため、行うことを提案します。
- 母乳投与は、消化管機能障害、特に壊死性腸炎の発症を低下させるため、行うことが推奨されます。
- プロバイオティクス投与は、消化管機能障害、特に壊死性腸炎の発症を低下させるため、提案します。