胃アニサキス症
概要・推奨
概要
- アニサキス症は、アニサキス属線虫の幼虫が寄生した魚介類を生食することによって引き起こされる幼虫内臓移行症です。
- 原因となる線虫はAnisakis simplexが最多です。
- 終宿主であるイルカやクジラなどの海産哺乳類の糞便中に排泄された虫卵が、オキアミなどを介してサバやカツオなどの魚介類に寄生し、それをヒトが生食することで感染が成立します。
- ヒトの体内では成虫になれず、感染した幼虫は数日で自然に死滅します。
- 消化管アニサキス症は日本の食中毒原因の約40%を占め、年間発生件数は約7,000件と推計されています。
- 感染源として最も多いのはサバですが、カツオ、アジ、サンマ、イワシ、イカ、タラなど165種以上の魚介類からも検出されています。
- 調理法は生食が59.5%と圧倒的に多いですが、アニサキス幼虫は酢に耐性があるため、酢漬けでも8.6%の症例で発症します。
- 消化管アニサキス症の罹患部位は胃が90%以上を占め、小腸は6.0%、大腸は2.5%です。
- 臨床的には、多くが急性腹症として発症する劇症型であり、病態としてアニサキス抗原に対するI型アレルギー反応が考えられています。
- 約5%の症例で、蕁麻疹やアナフィラキシーといった全身症状を伴うことがあります。
推奨
- アニサキス幼虫は熱処理(60℃で1分以上)や冷凍処理(-20℃以下で24時間以上)で死滅するため、生食用の魚介類に対しては予防として冷凍処理が推奨されます。
- 診断においては、魚介類の生食歴の問診が必須です。少なくとも2週間程度の食事歴を聴取することが推奨されます。
- 胃アニサキス症の診断には、内視鏡検査が有用です。