薬物依存
概要・推奨
概要
- 薬物依存とは、精神作用物質の摂取が他のいかなる行動よりも高い優先度を持つようになる状態のことです。精神作用物質には、アヘン類、大麻類、鎮静薬、睡眠薬、コカイン、精神刺激薬(覚せい剤など)、幻覚剤、揮発性溶剤などがあります。
- 依存の中心的な特徴は、薬物を使用したいという強迫的な欲求(精神依存)です。薬物の効果がなくなると離脱症状が現れる身体依存や、効果を得るためにより多くの量が必要になる耐性を伴うこともあります。
- 診断基準としては、国際的にICD-10やDSM-5が用いられています。ICD-10では「依存症候群」、DSM-5では「使用障害」という診断名が用いられ、診断方法にも違いがありますが、摂取欲求、身体依存、社会障害、危険を知りながらの使用といったコンセプトは共通しています。
- 日本の一般住民における薬物使用の生涯経験率は、2017年の調査で大麻が1.4%、有機溶剤が1.1%、覚せい剤が0.5%と報告されています。
- 薬物使用障害を抱える人は、うつ病や不安障害などの他の精神疾患を合併する確率が高いことが知られています。
- 注射による薬物使用は、C型肝炎やHIVなどの感染症のリスクを高めます。日本の薬物使用者におけるC型肝炎ウイルスの抗体陽性率は高いことが報告されています。
推奨
- 薬物依存症の治療目標としては、依存物質の摂取を完全に止め続けること(断薬)が最も安定的かつ安全です。
- 特に、覚せい剤や大麻などの違法薬物に対する依存症の場合、断薬が唯一の治療目標となります。
- 合法な処方薬依存症については、使用量の低減や、より安全性の高いまたは依存性の低い物質への代替も治療目標になり得ます。