筋萎縮性側索硬化症

概要・推奨

概要

  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位および下位運動ニューロンが進行性に変性する疾患です。
  • 主な症状は、四肢や体幹の筋力低下、筋萎縮、球麻痺による構音障害や嚥下障害、呼吸筋麻痺による呼吸不全です。認知機能障害や疼痛などの非運動症状を伴うこともあります。
  • 日本における発症率は10万人あたり年間2.2人、有病率は10万人あたり9.9人と推計されています。家族歴のある患者の割合は約5%と報告されています。
  • 症状は進行性で、発症から死亡または換気補助が必要となるまでの期間の中央値は32〜48ヵ月と報告されていますが、個人差が大きいです。
  • 診断は、臨床所見、電気生理学的検査、画像検査などを総合し、類似の症状を呈する他の疾患を除外することによって行われます。
  • 治療は、疾患修飾薬であるリルゾールやエダラボンの投与に加え、症状に応じた対症療法、呼吸管理、栄養療法、リハビリテーション医療、多職種による包括的なケアが中心となります。近年、SOD1遺伝子変異陽性例に対する核酸医薬であるトフェルセンや、早期例に対するメチルコバラミンの有効性も報告されています。

推奨

  • リルゾールの内服治療は、条件付きで推奨されます。この治療は非気管切開生存期間を延長させる効果が示されていますが、その効果は限定的です。運動機能の低下を抑制する効果についてはエビデンスが乏しく、副作用として肝機能障害や間質性肺炎に注意が必要です。投与前後での定期的な採血による肝機能のモニタリングが重要です。
  • エダラボンの点滴治療は、条件付きで推奨されます。この治療は運動機能の低下を抑制する効果が示されていますが、その効果は限定的です。非気管切開生存期間の延長、呼吸機能低下の抑制、生活の質の改善効果は示されていません。腎機能障害のない患者が対象となり、副作用として肝機能障害、腎機能障害、注射部位反応などに注意が必要です。また、継続的な点滴が必要となります。2023年には経口薬(内用懸濁液)が承認され、投与経路の選択肢が広がりました。
  • エダラボンについては、進行期における有効性が示されていないため、投与の継続は、副作用の有無や点滴確保に伴う苦痛なども含め、多職種と相談の上で総合的に判断することが推奨されます。