腹水貯留

概要・推奨

概要

  • 腹水は肝硬変の代表的な合併症であり、腹囲膨満による苦痛や呼吸困難などの症状を引き起こします。
  • 診断は、理学所見や腹部超音波検査などの画像検査で行われ、必要に応じて腹水穿刺が実施されます。
  • 腹水の原因を鑑別するため、血清と腹水のアルブミン濃度差(SAAG)が用いられます。SAAGが1.1g/dL以上の場合、門脈圧亢進症に起因する肝性腹水である可能性が高いと判断されます。
  • 腹水の程度は、Grade 1(画像検査でのみ診断可能)、Grade 2(理学的に明らか)、Grade 3(腹部が膨隆)に分類されます。
  • 治療の基本は、食塩摂取制限(5~7g/日)と、スピロノラクトンやループ利尿薬などの利尿薬投与です。
  • 特発性細菌性腹膜炎(SBP)は、腹水中の好中球数が250/mm3以上、もしくは細菌培養が陽性の場合に診断されます。SBPを合併すると予後は悪化します。
  • 利尿薬でコントロールできない難治性腹水に対しては、大量腹水穿刺排液、腹水濾過濃縮再静注法(CART)、腹膜・頸静脈シャント(P-Vシャント)などの治療法が選択されます。

推奨

  • 食欲を損なわない程度(5~7g/日)の食塩摂取制限が推奨されます。
  • 肝硬変による腹水に対する利尿薬治療の第一選択薬としてスピロノラクトンの投与が推奨されます。単剤で効果が不十分な場合は、ループ利尿薬との併用療法が推奨されます。
  • 既存の利尿薬治療に抵抗性を示す腹水患者には、腎機能が温存された早期の段階でバソプレシンV2受容体拮抗薬(トルバプタン)の投与を開始することが推奨されます。