胸部外傷
概要・推奨
概要
- 胸部には心臓、肺、大血管などの生命維持に重要な臓器が存在するため、胸部外傷は気道、呼吸、循環の異常をきたし、迅速な対応を必要とします。
- 重篤な病態には、致死的胸部外傷である気道閉塞、肺挫傷を伴うフレイルチェスト、開放性気胸、緊張性気胸、大量血胸、心タンポナーデなどがあります。
- 日本における胸部外傷は、全外傷例の約26%を占め、その約90%以上が鈍的外傷です。
- 胸部外傷の多くは胸腔ドレナージや呼吸管理などの非手術療法で対処可能ですが、穿通性外傷では15~30%,鈍的外傷では10%未満は開胸手術を必要とします。
- Primary surveyでは身体所見、胸部X線写真、FAST、超音波検査による気胸の評価を組み合わせて致死的な胸部外傷を迅速に診断し、蘇生を行うことが重要です。
- Secondary surveyでは、初期には症状が明らかでないものの、見落とすと致死的となりうる損傷(胸部大動脈損傷、気管・気管支損傷など)を検索します。
推奨
- Primary surveyで診断と治療を要する致死的胸部外傷への対応として、以下が推奨されます。
- 緊張性気胸:胸部X線写真による確定診断を待たず、身体所見や超音波所見から診断し、直ちに胸腔穿刺または胸腔ドレナージによる減圧を行うことが推奨されます。
- 開放性気胸:直ちに三辺テーピング法などで開放創を一時的に閉鎖した後、速やかに胸腔ドレーンを留置し、その後開放創を閉鎖することが推奨されます。胸腔ドレナージを行わずに開放創を閉鎖することは推奨されません。