ADH分泌過剰症(SIADH)

概要・推奨

概要

  • バソプレシン分泌過剰症(SIADH)は,低ナトリウム血症にも関わらずバソプレシンによる抗利尿作用が持続している病態です。
  • 体液量はほぼ正常であり,診断においては脱水や細胞外液量増加を呈する疾患を鑑別する必要があります。
  • 低ナトリウム血症が緩徐に進行した場合は症状を自覚しないことが多いですが,低ナトリウム血症が重度か,急速に進行した場合には,倦怠感,食欲低下,意識障害などの症状を呈します。
  • 意識障害を伴う低ナトリウム血症においては,3%食塩水投与によって血清ナトリウムを補正しますが,急速な血清ナトリウム濃度の上昇は浸透圧性脱髄症候群をきたす危険性があるため,慎重な管理を必要とします。
  • 慢性低ナトリウム血症と骨密度低下や転倒との関連が指摘されています。

推奨

  • SIADHの治療では、原疾患の治療と並行して、1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15〜20 mlに制限することや、食塩を経口的に投与することが推奨されます。
  • 血清ナトリウム濃度が120 mEq/l以下で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合は,3%食塩水を点滴にて投与することが提案されます。フロセミドの静脈内注射も適宜併用します。
  • 重篤な中枢神経症状を呈するSIADHにおいて,3%食塩水による治療が提案されます。急速投与も考慮されます。