麻薬中毒

概要・推奨

概要

  • 麻薬中毒とは、ヘロイン、コカイン、大麻、あへんなどの麻薬性物質への依存症と、それによる慢性中毒状態の両方を指す言葉です。急性中毒と依存症は区別して考える必要があります。
  • 世界保健機関(WHO)は、薬物依存を「薬物の精神効果を体験するため、あるいは退薬による苦痛から逃れるために、その薬物を継続的あるいは周期的に摂取したいという強迫的欲求を常に伴う行動やその他の反応によって特徴づけられる状態」と定義しています。
  • 依存には、身体の生理的順応状態である「身体依存」と、脳の報酬系回路の機能不全による原発性の慢性疾患である「精神依存」があります。
  • 身体依存は、オピオイド鎮痛薬などの薬物の突然の中止や急激な減量によって、あくび、くしゃみ、鼻漏、流涙などの身体症状や、不安、不眠などの精神症状からなる特有の「退薬症候」が生じることで明らかになります。
  • 精神依存は、薬物への欲求(渇望)、使用の制御障害、強迫的な使用、有害性を知りながらの使用継続といった4つの特徴(4C)で示されます。
  • 急性中毒は、中毒量のオピオイド鎮痛薬などを摂取した後に短時間で生体機能が障害される状態で、縮瞳、意識混濁、呼吸抑制が三大徴候とされています。重篤な症状として、血圧低下、徐脈、昏睡、痙攣、低体温などが生じることがあります。

推奨

  • 麻薬中毒が疑われる受診者に対しては、麻薬を施用せず、最寄りの保健所、都道府県の薬務主管課、地方厚生局麻薬取締部などに連絡することが推奨されます。
  • 急性中毒が疑われる場合は、縮瞳、意識混濁、呼吸抑制の三大徴候に注意します。
  • 急性中毒の治療として、モニターを装着し、酸素投与、静脈路確保を行った上で、オピオイド受容体拮抗薬であるナロキソン塩酸塩の投与が推奨されます。