肺胞出血

概要・推奨

概要

  • 肺胞出血は、肺の毛細血管から漏れ出した赤血球が、肺胞内に広範囲にわたって溜まる疾患です。
  • 原因として、肺の細い血管の炎症や損傷によって、血液と空気の間のバリアである肺胞-毛細血管基底膜が破綻することが挙げられます。
  • 典型的な症状は数日から数週間かけて悪化する喀血ですが、患者の3分の1から2分の1では喀血がみられないこともあります。
  • その他の症状は非特異的で、発熱、胸痛、咳、呼吸困難などがあります。
  • 重症度は軽症から人工呼吸器を要し生命を脅かすものまでさまざまです。
  • 原因は多岐にわたり、ANCA関連血管炎や全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患に伴う場合が多いですが、抗凝固薬や抗VEGF抗体といった分子標的薬などの薬剤によっても引き起こされます。
  • 病理学的には、肺胞隔壁への好中球浸潤を伴う「pulmonary capillaritis pattern」、肺胞隔壁の破壊がなく出血のみを認める「bland pulmonary hemorrhage pattern」、肺胞隔壁の浮腫や硝子膜形成を伴う「diffuse alveolar damage pattern」の3つに分類されます。
  • 診断においては、気管支肺胞洗浄(BAL)が重要です。洗浄を繰り返すごとに回収液の血性が増していくことが特徴です。
  • 気管支肺胞洗浄液(BALF)の肉眼所見は血性を呈します。
  • BALFの細胞成分の解析では、ヘモジデリンを貪食したマクロファージ(ヘモジデリン貪食マクロファージ)が特徴的です。これは通常、肺胞出血後24〜48時間で認められ、その割合は20%以上となります。
  • BALによって肺胞出血の診断は可能ですが、その原因までは特定できません。

推奨

  • 臨床的に肺胞出血が疑われる場合、確定診断のために気管支肺胞洗浄(BAL)を早急に施行することが推奨されます。
  • 抗凝固療法や抗血小板療法は、BAL施行の禁忌ではありません。
  • 出血傾向を来しやすい薬剤を投与中の患者にBALを行う場合は、吸引圧などに十分に注意することが推奨されます。