細菌性髄膜炎

概要・推奨

概要

  • 発熱、意識障害、項部硬直が髄膜炎の3徴候といわれますが、小児、成人ともにこれら3徴候がすべてそろっているとは限りません。
  • 特に新生児・乳児では特徴的な髄膜刺激症状を呈することは少なく、not doing wellを含めた非特異的な症状、痙攣、嘔吐、大泉門の膨隆が手掛かりになることもあります。
  • 小児では、発熱に加え、嘔吐、髄膜刺激症状や中枢神経症状があるときは、細菌性髄膜炎を常につねに考慮すべきです。一方新生児・乳児では発熱がおもな症状ですが、低体温や体温が正常のこともあります。髄膜炎を示唆する症状がない場合でも、他に明らかな感染巣が見当たらない場合には髄膜炎を考慮します。
  • 成人において高齢者は発熱と意識障害のみを呈し、頭痛、項部硬直を欠如することが多いです。
  • 免疫学的異常を示す患者では、発熱や頭痛、髄膜刺激徴候などの中枢神経症状が軽微なことがあります。
  • 抗菌薬がすでに投与されている患者では症状が典型的でない場合があります。
  • 年齢や基礎疾患などから原因微生物を考え、推定される原因微生物をカバーする初期治療をできるだけ早期に開始します。
  • 新生児(生後1か月未満)ではStreptococcus agalactiae、Escherichia coli、Listeria monocytogenes、生後1~3か月ではS. agalactiae、E. coli、Streptococcus pneumoniae、Haemophilus influenzae、生後4か月以上の乳児・幼児・小児ではS. pneumoniae、H. influenzaeが主な原因菌となります。
  • 成人では、50歳未満ではS. pneumoniae、Neisseria meningitidis、50歳以上ではS. pneumoniae、L. monocytogenes、グラム陰性桿菌が主な原因菌となります。
  • 免疫不全患者ではS. pneumoniae、N. meningitidis、L. monocytogenes、グラム陰性桿菌(Pseudomonas aeruginosaを含む)が、頭蓋骨骨折ではS. pneumoniae、H. influenzae、Streptococcus pyogenesが、頭部損傷や脳神経外科術後ではStaphylococcus aureus、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CNS)、グラム陰性桿菌(P. aeruginosa を含む)、Cutibacterium acnesが主な原因菌となります。
  • Haemophilus influenzae type b (Hib)ワクチンと結合型S. pneumoniaeワクチンが2013年4月から定期接種化され、Hibによる髄膜炎症例はほぼなくなりました。S. pneumoniaeによる髄膜炎は、ワクチンでカバーできない血清型による感染症が増加しているため、全体的に約60%の減少にとどまります。
  • 成人ではS. pneumoniaeが約50%を占めます。
  • 髄液糖/血糖比は0.6以下が異常値、0.4以下で細菌性髄膜炎が強く疑われます。
  • 主な原因菌に対する治療期間の目安は、N. meningitidisでは7日間、H. influenzaeでは10~14日間、S. pneumoniaeでは10~14日間、S. agalactiaeでは14~21日間、腸内細菌目細菌やP. aeruginosaでは21日間、L. monocytogenesでは21日間以上です。
  • 抗菌薬治療が行われなければ、致死的となります。
  • 国内の小児における致死率は、治療を行っても後遺症を含め約20%強です。菌種別の致死率は、S. agalactiae、S. pneumoniae、E. coliいずれも3~6%です。
  • 国内の成人例における肺炎球菌性髄膜炎では、致死率15%、後遺症26%と報告されています。

推奨

  • 抗菌薬開始前に必ず血液培養検査を行うことが推奨されます。
  • やむを得ない理由がないかぎりは髄液検査(腰椎穿刺)を必ず行うことが推奨されます。ただし、髄液検査ができないことで治療が遅れることがあってはなりません。
  • 免疫不全患者、中枢神経疾患の既往のある患者、新しく出現した痙攣の病歴、乳頭浮腫、意識障害、局所神経徴候を示す患者では、頭部CTを行い、出血がないこと、脳ヘルニア等の著明な脳圧亢進所見がないことを確認した後に髄液検査を行うことが推奨されます。